【動脈硬化とは】
動脈硬化は心臓や脳の病気をもたらします。実は、目でも動脈硬化は起きており、網膜にある静脈で血液が流れにくくなってしまいます。その結果、 目がかすむ、視野の一部が欠ける、急激に視力が落ちるといった症状が現れます。放置すると、目から出血したり目の奥が腫れたりし、失明することもありま す。異変を感じたら早めに眼科を訪れることが大切です。
東京都内に住む50代の会社員の男性は、車を運転中に視界がぼやけることに気づきました。数カ月放っておいたが、テレビを見ていてもぼやけてき たので近くの病院を受診すると、目の動脈硬化によって発症する「網膜静脈閉塞症」と診断されたようです。幸い症状は軽く、薬を使って改善に向かっていま す。「思いもよらない病気だったので驚いた」とこの男性は話します。
この病気は高血圧などの生活習慣病を持っている人に多いことが知られています。糖尿病や血管の炎症などがある場合も発症しやすくなります。中高 年に多く、男性では40代以降、女性では50代以降で患者が増え、まれに20代でも発症するケースもあります。40歳以上の日本人の約50人に1人が、こ の病気を発症しているようです。
【血液や水分漏れる】
網膜静脈閉塞症は動脈と静脈が交差していたり並行していたりする部分で、動脈硬化が起こり、静脈の血液の流れが滞ってしまいます。この結果、視 力の低下などにつながります。大きく分けて2タイプがあり、網膜内で起こるのを「網膜静脈分枝閉塞症」、脳からつながる視神経で起こるのを「網膜中心静脈 閉塞症」と呼んでいます。
網膜内で起こるタイプは、静脈の流れが悪くなった場所の上流で血液や水分が漏れます。この結果、眼底出血や網膜のむくみ(浮腫)などが起こりま す。こうした現象が、ものの形や大きさ、色、距離感などの視覚情報の識別にかかわる黄斑(おうはん)と呼ぶ部分に及ぶと、視力が低下したり、ものがゆがん で見えたりします。視力が落ちないケースも含めて症状はさまざまで、中には3か月以内に自然に改善する場合もあります。
これに対し、視神経で起こるタイプは黄斑の浮腫や眼底出血が起きやすくなる点は同じですが、急激な視力低下を伴うのが特徴です。静脈の根元部分 の流れが滞り、網膜全体に血液などが漏れるためです。出血の範囲も広くなりやすく、その影響で見ているところが黒っぽくなるなど視界が遮られるケースもあ る、という指摘もあります。
いずれのタイプでも、目の異変を感じたら早めに眼科を受診することが重要です。医師は患者の状態を尋ねるとともに、視力やゆがみなどの測定、眼底 の検査などを通じて、どんな病気を発症しているか判断します。網膜静脈閉塞症でなくても、高齢者に多い加齢黄斑変性や糖尿病の合併症である網膜症などの可 能性があります。
【むくみを改善】
網膜静脈閉塞症の治療では、閉塞そのものを取り除くのは難しいため、黄斑部の浮腫などの改善を目指します。治療法はいくつかあり、症状に応じて 医師が選択します。薬物治療では、血液の流れをよくする薬を飲んだり、静脈からの血液や水分の漏れを抑える薬を目の中や周囲に注射したりします。レーザー で網膜を焼き固めて水分をためないようにして進行を抑える方法もあるようです。
こうした治療で改善しない場合は、ゼリー状の球である硝子体の一部を手術で切除し、浮腫の軽減などを目指します。ただ、どの治療法を選んでも効果には個人差があります。
昨年、「抗VEGF(血管内皮増殖因子)治療薬」が国の保険適用となり、治療の選択の幅が広りました。目に麻酔薬を差した後、抗VEGF薬を硝 子体に注射します。眼球内のVEGFは黄斑浮腫を悪化させるので、その働きを妨げて浮腫を軽減して症状の改善を目指します。視力が大きく低下する前に治療 を始めると効果が出やすいようです。投薬後は1カ月以上たって再発したら、再度注射します。
網膜静脈閉塞症の発症リスクを高める高血圧や糖尿病にならないよう、日ごろから注意することも大切です。血圧をコントロールするには、塩分を控 えるとともに、適量でバランスのよい食事、適度な運動などを実践するのが望ましいでしょう。酒を飲みすぎないようにし、たばこもやめる。こうした心がけは 他の生活習慣病対策にもなります。
Ne (kana)Wikipedia: ね, in hiragana, or ネ in katakana, is one of the Japanese kana, each of which represents one mora. The hiragana is made in two strokes, while the katakana is made in four. Both represent. →