季節の変わり目の「めまい」 気圧低下が引き金に

投稿日:2015年7月21日|カテゴリ:医療コラム

雨が降る前に頭痛や神経痛が出たり、めまいを感じることがあるかと思います。天気と痛みには関係があることは経験的に知られていますが、最近の研究で、気圧の変化に耳の中の“気圧センサー”が反応した結果、症状が起こることが分かってきました。今回は、めまいについて解説します。

雨が降ると関節が痛くなる、季節の変わり目に体がだるくなる――。昔から、天気の変化で不調が出ることは経験的に語られてきましたが、近年の研究でそうした不調は「気象病」だと分かってきました。

気象病にはうつやイライラ、肩こり、めまいなど、「不定愁訴」と呼ばれるものが多いです。その中で、片頭痛、関節痛、治ったはずの古傷が痛むなど、痛みを伴うものを「天気痛」と呼びます。

「気象病の引き金は気圧、気温、湿度の変化など。特に影響が大きいのが気圧の低下である。」とある研究者は解説します。関節痛などを持つ人に減圧室で過ごしてもらう実験で、気圧を下げた状態(マイナス40hPa)では痛みが増すことが確認されています。

最近の研究で、気圧の変化を察知する『気圧センサー』が内耳に存在することが分かっています。それが自律神経、特に交感神経に影響を及ぼすことで痛み、めまいなどの症状が表れます。日ごろストレスで不眠になるなど自律神経が乱れやすい人は、気象病になりやすいとの考察もあります。

原因不明の痛みは天気痛の可能性があり、低気圧と高気圧が交互に通過する梅雨どきや台風シーズンなどは、気象病が出やすい季節です。気象病の代表的症状のめまい、頭痛、関節痛の中から、今回はめまいの対策を紹介します。

以下の3つ以上当てはまる人は、季節の変わり目に不調を感じやすいとされます。
□ 車酔いしやすい
□ のぼせやすい
□ 夕方になると集中力がなくなる
□ 雨が降る前にひざや古傷が痛くなる
□ 寒暖差に弱い
□ ストレスで不眠になりやすい

いずれも天気の影響を受けたり、自律神経が乱れやすい人によく見られる症状で、低気圧が近づくと傷や持病の痛みが悪化する場合は、「天気痛」の可能性があります。

【めまい】 耳の中だけ“乗り物酔い”状態になる
低気圧が近づくとぼんやりしたり、ふらついたりする症状には内耳が関係しています。

気圧が変化すると、内耳にある『気圧センサー』が興奮し、内耳の内リンパ液と外リンパ液の間に波のズレが生じます。それによって、脳は“体のバランスが崩れた”というサインをキャッチしますが、実際には体のバランスは崩れていないため、目からの情報と内耳からの情報に食い違いが起きます。結果、脳が混乱して自律神経が乱れ、交感神経が興奮。内耳の血流が低下し、それによってめまいが起きます。

めまいは乗り物酔いのメカニズムと似ているため、気象病によるめまいには、酔い止め薬が効果的です。酔い止めの成分が内耳の血流を改善したり、抗ヒスタミン成分が内耳神経の興奮を抑えることで、耳鳴りやめまい、ふらつきなどの症状が治まる。と考察もされています。

その他の対策として、日ごろから適度な運動や十分な睡眠など自律神経を整える習慣も心がけたいですね。