「大動脈 忍び寄る危険」

投稿日:2014年8月11日|カテゴリ:医療コラム

【大動脈解離とは】
大動脈の壁は3層構造になっており、血液が接する側から内膜、中膜、外膜と呼びます。
内膜に何らかの原因で傷ができると、傷から穴が開き、血液が流れ込む。そうなると中膜がはがれ、裂けてしまう。層構造が別々に剥がれていく(解離してしまう)疾患これを大動脈解離といいます。

【大動脈解離の主な原因】
一般には、動脈硬化が原因であることが多いとされています。ある種の老化現象といわれています。
それ以外では高血圧、外傷、妊娠、炎症、感染、先天性などがあります。
動脈硬化は年齢とともに誰でも起こり得るもので、中でもタバコ、高血圧、糖尿病、高脂血症、慢性血液透析などがリスクとなります。

【大動脈解離の症状】
急性大動脈解離は、胸部や背部にバットで殴られたような激痛がおこり、解離の進展につれて痛みは下方に移ります。いきなりショック状態となる人も少なくありません。
解離が起きて血管がさけているときは、その部分にこれまで体験したことがない強い痛みを感じます。
まれに痛みが発生せず、意識障害や脚のまひが起きたり全身の倦怠感を覚えたりするケースなどもあります。
解離は高血圧がある人に起こりやすいといわれています。

【大動脈解離の主な治療法】
大動脈解離は治療しないと高い確率で死亡します。
手術で解離した大動脈を人工血管に置き換えるのが一般的です。最近は、ステントグラフトという器具を使った血管内治療も実施されています。
足の付け根の病脈からカテーテルを入れ、患部で血管を補う。これは、患者の負担も少なく、胸や腹を開く手術では難しくても、この方法で治療できる場合も多くあります。

【大動脈解離の予防法】
大動脈解離の予防はなかなか難しいが、食生活などの生活習慣に気を配れば、リスク低減につながるといわれています。
例えば、血圧を上げないように塩分の多い食品を避け、バランスの良い食事をとる。外気との温度差をなるべく少なくする。
たばこをやめ、お酒は飲み過ぎないようにする。適度な運動を心掛けるなど、生活習慣病対策と共通する取り組みが有効とされています。

動脈の病気は、静かに忍び寄ります。正しい知識を備え、日頃から行動に気を配ることが大切です。