下肢静脈瘤は、足にある静脈に血が溜まり血管が膨らむ病気で、血管が皮膚の表面にぼこぼこと浮き出て、特に女性に多く見られる病気の一つです。
下肢静脈瘤は良性の病気ですので、治療せずに放置しがちですが、下腿色素沈着や潰瘍形成など重い症状に発展するケースも多いため早期発見、早期治療が重要となります。
【下肢静脈瘤とは】
血液は心臓から動脈を通って全身に行き渡り、静脈を通って心臓に戻ってきます。
足は重力に逆らって下から上へ血液が流れます。そのため、途中で血液が逆流しないように、足の静脈には弁が付いています。
しかし、長時間立ちっぱなしの人などでは血液を押し上げる機能が低下するとともに、弁に負担がかかり壊れてしまいます。
その結果、血液が逆流して足にたまってしまう。これが、下肢静脈瘤で、静脈がぼこぼこと膨らんだり、浮き出てみえたりします。
【下肢静脈瘤を発症しやすい人は】
⚫︎ 女性に多い
⚫︎ 美容師や調理師など1日中立って仕事をしている人に多い
⚫︎加齢とともにできやすくなる
⚫︎ 両親とも患者だと起こりやすい
⚫︎ 妊娠・出産を機にできやすくなる
【下肢静脈瘤かどうかの主なチェック項目】
□足の血管がこぶのように見える
□ 足のむくみやだるさ、痛みがある
□ 寝ている時に足がつる
□ 足の血管が青紫色になり、クモの巣状にもりあがって見える
注)専門家の話を基に作成。
チェック項目は目安で、気になることがあれば医師に相談してください。
【下肢静脈瘤の新治療法】
下肢静脈瘤は自然によくなることはないので、むくみや、だるさに悩まされる人は治療が勧められます。様々な治療方法があり、病状にあわせて、適切な治療法を選択することが重要です。
(1)理学療法(運動療法など)
(2)圧迫療法(弾性ストッキング)
(3)硬化療法
(4)レーザー手術(下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術)
(5)ストリッピング手術
(6)高位結紮術
従来は、太ももの静脈に細い針金を入れ、静脈を引き抜く『ストリッピング』の呼ばれる手術が主流でしたが、全身麻酔もしくは下半身の麻酔をして実施し、3日~1週間程度の入院が必要となり、
効果が高い半面、手術後に痛みや腫れが生じることもありました。
そこで登場したのがレーザーを使って静脈を焼き、血管を塞いで血流を遮断する治療法です。これは、2011年に保険適用されました。
今年はさらに2種類の手法、血管内治療が改良され、保険適用されました。
これまでの血管内レーザー治療に比べて痛みや皮下出血などは起こりにくくなった事が、新手法の利点と言われています。