足の裏に痛み… 足底腱膜炎、足休めて衝撃波で治療も

投稿日:2015年3月30日|カテゴリ:医療コラム

立ったり歩いたりするときに突然、足の裏がズキンと痛む場合は要注意です。
足のアーチ構造を支える「足底腱膜(けんまく)」に炎症が起きている可能性が高いです。
中高年に多い病気で、ストレッチなどが効果があります、衝撃波を患部にあてて痛みを取り除く治療法も広がりつつあります。

足底腱膜炎はかかとに起こりやすい炎症で、歩いたりスポーツしたりした際に、かかとの骨から足先に向かって伸びている足底腱膜に負担がかかり、痛みが生じます。
炎症が起きていても、足が腫れるなど見た目ですぐ分かるケースは少なく、突然痛みを覚える人が多いです。

【放置すると慢性化】
痛みは起床後の一歩目や、スポーツ時に、足の裏に体重がかかった瞬間に起きます。
ただ歩いたり、走ったりするうちに痛みがなくなるため放置しやく、何度かその状態を繰り返すと慢性化して、痛みがひどくなる場合もあるので注意が必要です。

発症の要因として多いのは加齢でとくに50~60代の女性に多くみられます。
年をとると足底腱膜の柔軟性が低下し、傷つきやすい状態になりできた小さな傷が修復されないうちに、再び負担がかかるため炎症が起きてしまいます。
仕事などで長時間立ちっぱなしの人や、スポーツで足を使いすぎの人は年齢や性別を問わず発症しやすいです。また、肥満のため足に負担がかかって痛みが生じる例もあります。

対処法として、スポーツなどで足を使いすぎないよう負担を減らすことが大切です。痛みがある場合は、足を休ませる。スポーツの種目を変えることも有効です。
たとえば、ジョギングをしていて痛みを感じたら、水泳や自転車こぎなどに切り替える。こうすれば、足への負担を減らすことが出来ます。

仕事などでどうしても足を休めるのが難しい人はクッション性の高い靴を履いたり、靴に中敷きを敷いたりすると、衝撃が和らぎ、痛みの軽減につながります。
最も効果があるのは足の裏とふくらはぎのストレッチです。1日3回程度、起床後や歩き出す前、入浴後などに実施すると、ほとんどの患者様が生活に支障がない程度に回復致します。
鎮痛薬を使う場合もあります。痛みを軽減する効果がありますが、痛みの原因をなくすわけでありません。
また、足底腱膜の一部を取り除く手術は傷痕が残り、運動を再開するまで時間がかかることが多く、患者様の負担が大きいです。

【8割の患者が緩和】
近年注目を集めているのが体外から衝撃波を当てる治療法です。尿路結石などの治療に使われてきた装置ですが、2012年から足底腱膜炎も保険が適用されました。
対象となるのはストレッチや薬物療法などで半年以上痛みが消えない人で、患部に低出力の衝撃波をあてて、だんだん出力を上げていきます。
衝撃波なので多少、痛みを感じるが、麻酔を必要とするほどではありません。患者の様子を見ながら出力を上げていき、1回15~20分程度で終わります。

衝撃波の治療は約1カ月の期間をあけて3回程度実施するのが一般的です。足の痛みが大幅に軽減し副作用はほとんどありません。
ただ、高齢者に多い脂肪組織の炎症が原因の痛みには効きにくい場合があります。

歩きはじめに痛みを感じる足底腱膜炎に対し、何もしなくても痛みが出る、かかとだけでなく足の裏全体が痛むといった場合は、別の病気を発症している可能性もあります。
肥満は足の痛みだけでなく生活習慣病の要因にもなるので、暴飲暴食を避けて、バランスのとれた食生活などを心がけることで改善するのが得策です。