ニキビの新薬「BPO」 改善早まり再発も予防

投稿日:2015年7月6日|カテゴリ:医療コラム

40年以上前から欧米でニキビの標準治療薬で、欧米では市販薬にも使われている「過酸化ベンゾイル:BPO」(商品名:ベピオゲル)が、2015年4月に日本でも処方薬として発売されました。
従来薬との併用などで、炎症のある赤ニキビを早く治せるだけでなく、再発も予防できます。
ニキビは重症化すると肌に跡(瘢痕、はんこん)が残ることもあり、きちんと治すためには、早めに皮膚科を受診するのがお勧めです。 近年、皮膚科で使えるニキビ治療薬が増え、悩みに合った薬が選べるようになってきました。 ニキビは毛穴が詰まることで始まります。 その毛穴の内部に皮脂などがたまった状態がニキビの初期段階である「白ニキビ」。
もともと皮膚にいるアクネ菌などが中で増殖して炎症を起こし、膿(うみ)がたまった状態が「赤ニキビ」です。

かつては皮膚科でもニキビ治療といえば赤ニキビに対する抗菌剤が中心だしたが、この状況を変えたのが7年前に発売されたアダパレン。 ビタミンA様の作用で毛穴の詰まりを取って白ニキビを防ぎ、赤ニキビへの移行を抑える。

【アダパレンとの併用で効果高く】
そこに新たに加わったのがBPO。赤ニキビに対しては殺菌効果が得られるとともに、角質を柔らかくして白ニキビの原因である毛穴の詰まりも予防できます。
BPOとアダパレンは作用メカニズムが異なりますが、もたらされる効果は似ています。欧米の臨床試験では両者の合剤で症状が「早く」「より良い状態に」なることが分かっており、重症の人には併用療法がお勧めです。
また、ニキビ治療で大切なのは治療の継続。赤ニキビが多いときは抗菌剤、BPO、アダパレンを集中的に利用する。赤ニキビが5分の1ぐらいに減ったらBPO、アダパレンの併用か、単独でその状態を保つ維持療法を続けると肌の状態が良くなります。

【ピーリングと抗炎症作用がある「過酸化ベンゾイル」(BPO)】
商品名「ベピオゲル 2.5%」(マルホ)。1日1回洗顔後、0.5g(人さし指の先から第一関節までの長さ)をニキビのできやすいところ全体に、まんべんなく薄く塗ります。

【BPOは長期に使うと症状を抑えられる。】
維持療法が重要なのは、ニキビができている人の肌には、赤ニキビ予備軍である白ニキビが次々生まれるからです。
BPOを用いた維持療法では、白ニキビから赤ニキビへの移行を阻止できます。 しかし、赤ニキビが改善したら薬をやめてしまう人が少なくありません。
乾燥などの副作用はアダパレンよりBPOのほうが少ないので、乾燥を嫌って維持療法に取り組みにくかった人にはメリットが高く、耐性菌ができない点も安心です。
ニキビの原因になるアクネ菌やブドウ球菌は、誰の皮膚にもすみ着いている皮膚の常在菌。ニキビ治療で抗菌剤を多用すると、やがて抗菌剤が効かない耐性菌ができてしまいます。 耐性菌が増えると、重症のニキビ患者にとって重要なのみ薬(抗菌剤)による治療が難しくなり、特に欧米では深刻な問題になっています。
これに対し、BPOではこれまで耐性菌の報告はなく、標準治療薬として推奨されています。
BPOの登場で、ニキビの悩みから早く解放される人が増えそうだ。