【ドライアイとは】
私たちの涙やその成分を作る機能、そして粘膜は加齢とともに衰え、ドライアイになる可能性が高まります。
日本におけるドライアイ患者数は約2200万人と推計され、日本人全体の約20%を占めるともいわれています。
【ドライアイの原因】
ドライアイで受診する患者の半数近くを50歳以上の方々が占めています。
また、エアコンの乾いた風の中でパソコンやスマートフォンを長時間見つめ続ける、コンタクトレンズを装着するといった現代社会のスタイルが大きな負担となり、ドライアイになるリスクを著しく高めています。
ドライアイは古くは涙液減少症・乾性角結膜炎と呼ばれ、「涙の不足」が原因と考えられていました。
しかし、眼科学の研究が進歩して「涙の量と質の異常」があることが明らかになり、最近では「涙液と粘膜の疾患」であると考えられるようになりました。
【ドライアイの症状】
ドライアイはその病名から「目が乾く」だけの症状と誤解されがちです。しかし粘膜に異常があれば、まばたきの摩擦が増え「ゴロゴロする」「違和感がある」「痛い」といった不快感の症状も生じてきます。
また目の表面のなめらかさが失われると、光が正しく透過せず「かすむ」「まぶしい」「見えにくい」といった視機能への影響が出ます。
さらには「疲労」を感じることもあります。ドライアイは軽視されがちな疾患ですが、実は日々の生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。その程度は不安定狭心症にも匹敵するとの報告もされています。
【ドライアイの治療】
ドライアイの治療は、点眼を用いることが中心です。市販の人工涙液などで対処している方もいますが、防腐剤が含まれている場合があり、それがドライアイを悪化させてしまうケースもあります。
症状が改善しない場合は、眼科医にご相談ください。
日本には厚生労働省で承認されているドライアイ治療薬が複数あり、涙の量や質を改善する点眼薬だけでなく、最近では粘膜の正常化を促す点眼薬も使えるようになっています。
ドライアイは放置すると重症化し、感染やアレルギーのリスクが増加する恐れがあります。
また、見えにくい状態を長期間我慢していると心理的にも悪影響を及ぼし、うつ状態になりやすいという報告もあります。
ドライアイの症状を自覚したら、放置せずに眼科医にご相談ください。