『大腸憩室炎 食の欧米化で増える 腸管の内壁飛び出し痛み 穴があけば合併症も』
腹痛や腰痛と思って医療機関を訪れたら、消化器の病気と診断されることがあります。そんな病気の1つが「大腸憩室炎」です。
腸壁の弱い部分が外に向かって膨らみ袋状になった部分に、細菌感染や便がたまるなどして炎症が起こると、痛みに襲われます。食生活の欧米化などで最近患者が増えている傾向にあります。
食物繊維が多い野菜などを多くとるよう心がけることが炎症予防につながります。
【大腸憩室炎とはどんな病気】
大腸の腸管の内壁の一部が外側に向かって袋状に飛び出した憩室に細菌や便などがたまり炎症を起こす病気です。
【大腸憩室炎の原因】
大腸がはじまる右下腹部の上行結腸から、横行結腸、下行結腸と腹部を一回りして、S状結腸、直腸となり肛門につながります。大腸憩室は上行結腸や 大腸の手前にある盲腸に近い「右側大腸型」が一般的ですが、最近は、肉食や高カロリーの食事などが原因で、欧米人と同様のS状結腸付近にできるケースも増 えています。
こうした食生活の偏りを原因として、憩室ができやすくなり、炎症を起こすきっかけを作るようになったことが原因です。
【大腸憩室炎の症状】
●強い腹痛や腰痛などが生じる場合が多くあります。
●下痢、発熱、便に血が混じるといった症状を伴うこともあります。
【大腸憩室炎の治療法】
通常、憩室炎が疑われる場合、点滴による抗生剤投与で炎症を治めます。それまでは絶食です。
通院治療も可能ですが、 入院治療を勧めることがほとんどです。症状が軽ければ4、5日から1週間程度の入院ですむことがほとんどです。
【大腸憩室炎の予防】
残念ながら、大腸の憩室ができるのを防ぐ手立てはありません。ですので、憩室炎を確実に予防するのは困難ともいえます。しかし、食事で食物繊維を 多く含む野菜などを多くとるよう心がけることは、予防に役立ちますので食生活を見直すことをお勧めしています。また、便秘をしないよう整腸剤などで便通を コントロールすることも大切です。
【大腸憩室炎の診断】
腹痛などを放っておくと憩室が破れるなど、重症化することもありますから、体に異変を感じたら早めに病院を受診してください。血液検査で白血球の 値が異常に高いケースで、レントゲンやコンピューター断層撮影装置(CT)で撮れば、大腸憩室炎かどうかが分かります。便検査や大腸内視鏡検査などを事前 に受けておくのも有効になります。