慢性的な腰痛は、神経を圧迫する「椎間板ヘルニア」のように原因が分かる場合もありますが、85%は原因不明です。
原因の1つとして、筋肉痛の一種「筋筋膜(きんきんまく)痛」の患者さんも多いようです。
筋筋膜痛は、ふだんの姿勢の悪さや運動不足などが響くと症状が重くなっていきますので、まずは生活習慣を正していくことが大切です。
【筋筋膜痛とは】
筋筋膜痛は、疲労の蓄積、無理な姿勢をとったり、急激に重い物を持つ等の繰り返し筋肉に負荷をかけることで起こります。いわゆる「筋肉痛」と同じ 症状で通常は数日〜数週間で自己回復しますが、いつまでも回復せず慢性痛になる場合もあります。原因の特定は難しく、姿勢の悪さや運動不足といった様々な 生活習慣がかかわっています。
【筋筋膜痛の症状】
筋筋膜痛の症状が起きやすい場所は、背中や腰、尻、首、肩などの筋肉で、この筋肉の中に硬いしこり(トリガーポイント)ができ、押すと強い痛みを感じます。
神経痛のような神経に沿ってピリピリとした痛みはありませんが、神経痛と併発する場合があります。
【筋筋膜痛の原因】
複数の要因により発生すると考えられています。日頃の生活習慣が原因となる場合が多いです。
◯スポーツや重労働 ◯同じ姿勢を長時間とる ◯姿勢が悪い
◯ストレス ◯運動不足 など
【治療と対策】
まずは運動療法が大切です。慢性痛では絶対安静が必要な場合はあまりありません。ストレッチのような軽い運動を5~10分でもいいので行って、体の柔軟性を保ちます。
また、生活習慣の改善で特に重要なのは姿勢です。普段から正しい姿勢を心がけ、歩くときには意識的に背筋を伸ばすようにしましょう。
痛みで動けない患者さんには、筋肉のしこりや神経の一部に局所麻酔を注射し、柔軟性を回復します。症状によっては筋弛緩薬など薬も使ったり、はりを使う治療法もあります。
慢性痛の中には神経痛の他に「筋筋膜痛」の患者さんが多く、患者さん自身の日常生活の動作や生活の質の向上が一番の治療です。
慢性痛は患者さんが自分から動かなければ変わりません。まずは、日頃の生活習慣を見直しましょう。