極端に小食な人、どか食いの人。食事の仕方は人それぞれですが、家族や身近な人の食習慣に急な変化がみられたら要注意です。
若い女性を中心に患者数が急増している摂食障害の可能性もあります。
【摂食障害】
テレビではスマートなアイドルたちが活躍し、雑誌にはたくさんのダイエット記事が掲載される現代社会。こうしたなか若い女性を中心に増えているのが摂食障害と呼ばれる病気です。
厚生労働省研究班の調査によると摂食障害の患者数は1980年から20年間で約10倍になったといいます。
摂食障害には拒食症と過食症の2タイプがあり、発症年齢の若年化が進んでいるのが、かつて「思春期やせ症」とも呼ばれた拒食症。ダイエットなどをきっかけに発症し、周囲からみればやせ過ぎと思えるのに、極端な食事制限を続けるようになってしまう病気です。83年に米国の音楽グループ、カーペンターズのカレン・カーペンターさんが拒食症が影響して亡くなったことなどをきっかけに日本でも知られるようになりました。
摂食障害は、軽症で自然に治癒する場合も多いですが、36%が慢性化してしまい、なかには合併症を起こし死亡する例もあります。
摂食障害は、誰もがかかり得る病気です。早く気づいて治療を受ければ治りますが、重症化するほど治療が困難になります。
【拒食症(神経症無食欲症)】
ダイエットなどをきっかけに極端な食事制限をするようになり、周囲から「痩せ過ぎ」とみられても食事制限をやめない。
【過食症(神経症大食症)】
過度のダイエットから転じて発症する事が多く、初期症状は拒食症と同じように食事量の減少がみられるが、やがて反動で「むちゃ食い」をするようになります。
ただし、体重が増えないように、自分で吐き戻したり、下剤を使ったりと不適切な代償行為を行います。
【こんな行動に要注意】
・間食が極端に減り、お弁当をいらないという。
・食事への注文が多くなる。(揚げ物を拒否、ご飯の盛り方など)
・外食のメニュー選びに時間がかかる。
・カロリー計算に精を出す。
・体重を頻繁に計測する。
・長時間のジョギングをするようになる。
・入浴時間が長くなる。(体重をへらすため)
・入浴する姿を見られないようにする。(やせ始めているため)
・ダブダブの服を着るようになる。
・急に寒がりになる。
・夜中に長時間勉強したり掃除をしたりする。
これらは若い女性には比較的よく見られる症状で、摂食障害が進むと、食べ物を全部小さく切り刻んで食べたり、一人で食事をしたりするなど食行動の異常が目立つようになります。
イライラして落ち着かなくなり、家族の関係が悪くなるといった精神面の変化も見られるようになります。
そして、摂食障害の治療や予防対策には家族の支えが大切です。
摂食障害というと食習慣の異常だと思われがちですが、発症には精神的ストレスなどが深く関与していて、きちんと食べなさいと叱るよりも、本人の気持ちをよく理解することが重要です。
例えば、自己評価が低く「自分に自信がもてない」という場合や友人関係などがうまくいかないケース。こうした人が「やせることで自信が持てる、認めてもらえる」と始めたダイエットをきっかけに発症することも多いです。こうした自立を前にした思春期・青年期のこころへのサポートが大切です。栄養状態が低下すると脳や体に悪影響をおよぼして、ますますこだわりや思い込みが強くなり、胃腸の働きが低下するなど悪循環に陥りやすいです。