「糖尿病を知る:2型、遺伝が大きい」

投稿日:2014年1月21日|カテゴリ:医療コラム

『糖尿病はいくつかの型に分かれます。』
【糖尿病・2型】
◆2型と呼ばれる一般の糖尿病は、糖尿病全体の95%以上を占めます。
【原因】
◆発症には遺伝が深く関わる。親や兄弟に糖尿病がある人では、本人が発症するリスクも2~2.5倍に増えています。
◆食事や運動など生活習慣の影響大。家庭内の生活習慣には共通点が多いからです。
実際、通常は血縁関係がない夫婦間でも、一方が2型糖尿病の場合、
そうでないケースに比べて、配偶者も糖尿病を発症する率が30%以上も増えると報告されています。
【遺伝の力が大きい】
遺伝の強さを環境の影響から最も切り離して知る方法に一卵性双生児の研究があります。一方が2型だと他方も半数以上発症しています。
フィンランドで一方だけが2型の平均42~43歳の双生児を20年間調べたところ、一卵性の相手の発症は、二卵性の場合の倍を超えていました。

2型糖尿病の遺伝は「多因子遺伝」であり、多数の遺伝子が合わさって発症傾向を強めたり弱めたりします。
現在、多くの人が持つ遺伝子が60以上見つかっていますが、日本で発見された「KCNQ1」のような最も影響力の強い遺伝子でも、糖尿病は約4割増しになるだけです。
分かっている遺伝子を全て合わせても、2型糖尿病の遺伝のおそらく1割程度しか説明できないと推定されています。

実際、2型糖尿病の発症を年齢、性別、体格指数などから予測する式に、これまで判明している遺伝子の情報を加えても、予測する力はそれほど増加しないといいます。
心筋梗塞やアルツハイマー病など他の多因子遺伝病でも同様のことが明らかになっています。
従来の方法では捉えきれない隠れた遺伝子や、遺伝子間の相互作用などがあるからでしょうか。これは「行方不明の遺伝力」と呼ばれ、今後の研究の重要課題となっています。
他にも、1つの遺伝子が原因の「若年発症成人型糖尿病」や「ミトコンドリア糖尿病」など、発症が遺伝で決まるタイプもあり、糖尿病は遺伝の要素が切り離せません。