呼吸器科での主な疾患は、せき、気管支喘息、肺気腫、慢性気管支炎、上気道炎、肺炎、睡眠時無呼吸症候群(心不全に伴うもの)、慢性呼吸不全、肺血栓塞栓症です。
せき
風邪をひいた後、せきだけが3週間以上継続する方が最近増加しています。
市販の風邪薬・せき止めでよくならない場合、以下の病気を考えなくてはなりません。
比較的喀痰(かくたん)を伴わない、あるいは少しの透明な喀痰(かくたん)を伴うが、せきそのものが苦痛である場合
- 気管支喘息
- 鼻炎による後鼻漏によるせき
- せき喘息
- アトピー性のせき
- 風邪症候群遷延性のせき
- 喉頭アレルギー
- 逆流性食道炎
- 心因性
- 薬剤性
- 肺がん、気管支結核、肝質性肺炎
痰(たん)を気管支から出すためのせき・せいた防御機構としての生理的せき
- 副鼻腔気管支症候群
- 慢性気管支炎
- 後鼻漏 など
まず注意すべき点としては、過去に花粉症・アレルギー性鼻炎の既往があるかどうかです。鼻炎が改善されず、軽度ながらも鼻汁が口腔への垂れ込むことがせきの原因になっている方が多数います。
大事な点は肺がん・結核・肝質性肺炎などの重大な病気が隠れていないかを胸部レントゲンにて確認することです。さらに詳しく調べるため、CTスキャンが必要になることもあります。
その他の検査には、呼吸機能検査(肺活量・努力肺活量を測定することにより、肺全体の機能・気管支の状態が良く分かります)があります。当クリニックでは患者様の結果について分かりやすく説明いたします。
長く続くせきの原因として、気管支喘息が有名です。気管支喘息は小児期に発症する病気と思っている方が多いようですが、何歳からでも発症します。例えば、70歳以上の方でも発症する場合もあります。また過去にアレルギーが全く無い方でも発症の可能性があります。診断には聴診、呼吸器機能検査が重要です。また気管支喘息以外にも以下のような病気などがあります。
- せき喘息
- 喘息とは異なり、ゼーゼー・ヒューヒューという特徴的な音はしないのですが、せき発作を特徴とし、喘息と同様に気管支収縮物質に過敏な状態です。最近喘息の初期とも考えられています。吸入ステロイド剤の短期使用にて80%以上改善します。
- かぜ症候群後の長く続くせき(遅延性咳嗽)
- 風邪を機に、喉のところにあるせき反射を生じる部位が過敏になり、タキキニンという物質を少しの刺激で放出してしまう状況です。吸入ステロイドや麦門冬湯という漢方薬が効果的です。
- アトピー性咳嗽
- もともとアレルギー性鼻炎のある方が、風邪(ウイルス感染)をきっかけにして、風邪の改善後、アレルギー性の炎症が残り、そこから化学物質(ヒスタミン、ロイコトリエンなど)が放出され、せきが続く病態です。抗ヒスタミンと吸入ステロイドの短期吸入が効果的です。