機能性胃腸症とは、例えば胃潰瘍や胃炎といったはっきりと目に見える病気がないのに、胃もたれ、吐き気、胸やけ、嘔吐などの症状が出る病気のことを言います。あまり聞き慣れない名前ですが、日本人の約8人に1人が患者とする見方もあるほどありふれた病気です。以前は「胃下垂」や「胃アトニー」などと呼ばれ、最近まで「神経性胃炎」「慢性胃炎」などと診断されていました。
ストレスが主な原因と言われており、ストレス社会の現代病といってもよいでしょう。
機能性胃腸症の症状
機能性胃腸症の症状には、下記のようなものがあります。
- 胃のもたれや痛み
- みぞおちの痛みや不快感
- 食欲がない
- 胸やけ
- 少し食べるとすぐ満腹になる
上記のような症状が半年以上続き、直近の3ヶ月間は胃もたれ等が週に数回、みぞおちの痛みや焼ける感じが週に1回以上ある場合は、検査を受けましょう。
機能性胃腸症の原因
機能性胃腸症はストレスが深く関係しており、不安やストレス、過労等で自律神経のバランスが崩れることで胃の機能に影響し、胃もたれや痛みを招く可能性が高いと考えられています。
つまり、胃に食べ物が入っても胃の上部が拡張せず、すぐにお腹が一杯と感じてしまうため、胃の動きが弱まり、十二指腸に食べ物を送り出しにくくなります。そのため、胃酸に対して胃や十二指腸が知覚過敏になることが原因と考えられます。
患者の傾向
機能性胃腸症は、子どもから高齢者まで、年齢や性別を問わずに発症します。特に、働き盛りのサラリーマンに多く見られますが、最近は、親の介護を抱える人たちに発症者が増えています。
他の病気との識別が重要
医療機関を早めに受診し、胃がんや胃潰瘍などがあるかどうかを内視鏡で調べることが重要です。
また、ピロリ菌の感染についても検査しましょう。
機能性胃腸症の主な対策
機能性胃腸症と診断された場合は、投薬や食事の改善などで病気の回復を目指します。
- 睡眠を十分取る。
- ストレスをためない。
- 禁煙する。
- 1日3回、規則正しく食事をする。
- ゆっくりよくかんで食べる。
- 脂っこいものや甘いもの、塩辛いものは控えめに。
- 食事は腹八分目に。
- アルコールはほどほどに。
この病気は勤務時間が不規則になりがちな職種でよくみられると指摘されています。生活が乱れることにより、自律神経のバランスが崩れ、胃にも負担がかかって動きが鈍くなるため、なるべく決まった時間に食事を摂ることや睡眠時間の確保など規則正しい生活を送ること、併せて自分なりのストレス解消法も見つけることが大切です。